戦争法案を断固阻止する決議

政府与党は、2014年7月1日の集団的自衛権行使容認を柱とした「閣議決定」を具体化する「安全保障関連法案」と呼ばれる「戦争法案」を第189通常国会に提出し、今国会でなりふり構わず成立させるために9月27日まで95日間の国会延長を行った。
「戦争法案」の成立は、日本が戦後70年間、国是としてきた「戦争の惨禍を2度と繰り返さない」「不戦の誓い」に基づく平和国家としての歩みに真っ向から背く行為であり、国際社会で築き上げてきた名誉ある地位をおとしめるものである。
「戦争法案」に関して、衆議院憲法審査会に出席した与党推薦の憲法学者を含む3人全員が「憲法違反」であると指摘。衆議院安全保障審査会でも同じく元内閣法制局長官2人が安倍内閣の進める集団的自衛権はこれまでの政府見解を180度覆すものであり、「憲法違反」であると指摘した。
戦争は最大の人権侵害である。安倍内閣の推し進める「戦争法案」は、アメリカのおこす戦争に日本がいつでも、どこでも参加できるようにするものであり、地域人権運動を進める全国人権連として「人権」の視点からも、いのちを軽んじ戦争に巻き込まれる危険な「戦争法案」に断固反対するものである。
日本国憲法という国の最高法規の解釈を一内閣が恣意的にねじまげ、自分たちのつくろうとする「戦争法案」に憲法をあわせようとするなど、立憲主義をもないがしろにした行為は絶対に許されるものではない。
 安倍内閣が数の力を背景に「戦争法案」を国民の反対を無視して今国会で成立を図ろうとすることに対する国民的反発はもちろん、集団的自衛権行使に関する定義があいまいなことなど、法案の危険な中身とともに、沖縄の辺野古に新基地建設の強行と連動していることが徐々に国民の中に広がり、反対運動がいま大きな潮流となりつつある。
 そうした中で自民党本部において、作家の百田尚樹氏(元NHK経営委員)を講師に開かれた若手勉強会と称する「文化芸術懇話会」の席上、百田氏は南大西洋の国々への侮辱に続き、「沖縄の2紙はつぶさないといけない」などと暴言を連発。出席した自民党国会議員たちも「マスコミを懲らしめるのは広告料をなくせばよい」「経団連から圧力を」といった、知性も品位も良識さえも疑いたくなる暴言が相次いだ。これは、まぎれもなく戦争法案反対の世論が多数になりつつあることへの権力側のあせりの表れであり、言論表現の自由、国民の知る権利を侵害封殺する暴挙に他ならず、安倍政権とそれを支える与党政治の姿を如実に物語っている。一部幹部の更迭で済まされるものではない。
 私たちは、戦争のない日本と世界を求めてやまない。憲法9条をふみにじり立憲主義をも否定する政府与党の暴挙と、それに同調する勢力を「戦争法案反対」の世論の力で包囲し、日本を再び戦争できる国にすることなく、国際社会において憲法9条をもつ平和国家としての地位を堅持させるため、組織を上げて「戦争法案」阻止に向け奮闘することを決議する。
2015年7月12日
全国地域人権運動総連合
第6期第2回拡大幹事会