機関紙「地域と人権」6月15日号 「『部落差別』固定化法案」反対特集
第7回全国大会・広島 大会決議(2)
特別決議・時代逆行の「『部落差別』固定化法」断固阻止に奮闘する
全国人権連の前身である全国部落解放運動連合会時代から、私たちは「これ以上、同和に関する特別法はいらない」と全国各地で署名運動や各界各層との懇談会等を旺盛に展開し、当時の所管官庁であった総務庁地域改善対策室との交渉でも、特別立法の廃止を求めてきた。
こうした運動の成果で国における「同和」に関する特別法は、「地域改善財特法」を最期とし、5年間延長された後、2002年3月末で失効した。これにより「同和」を理由とした施策の法的根拠は無くなった。
2002年の特別法の終了は、実態的格差是正が進み、部落問題に起因する課題が概ね解決してきたという認識が関係団体や政府・行政及び専門家の中で醸成共有され、「これ以上同和対策を行うことは解決に役立たず、誰が同和関係者か判断が困難」という状態に至るほど変化してきたことが理由であった。
しかし、「解同」と深い関わりをもつ幾つかの県や自治体では、その後も「人権宣言」「人権条例」などと併せて、2000年に成立施行されて「人権教育・啓発推進法」を根拠に「同和対策事業」を継続するなど部落問題解決の今日的現状と相いれない誤った行政施策を継続させるなど、部落問題解決の歴史に逆行する誤った行政も行われている。
国の段階でも2002年以降、「同和」に関する法的根拠がないままに、一般対策に工夫を加えた事業名目で、「同和関係者」の雇用保険給付延長制度や児童生徒支援加配教員の偏向配置などを続けており、全国人権連は政府各省交渉の中で、正当な根拠をもたない事業の継続は止めるべきだと何度も是正を求めてきた。
昨年9月から大問題となった「集団的自衛権行使容認」と「戦争法」問題が国民的大反対と戦争法廃止の一点で野党結集が具体化してくる中で、今回の「部落差別の解消の推進に関する法案」が突如として自民党内から急浮上し、国会会期末に衆議院法務委員会に自公・民進の共同提案の形で提出された。
私たちは、自民党法務小委員会委員と衆議院法務委員35人全員へ反対意見書を送付した後、5月24日の国会緊急行動で議員事務所を訪問、道理も立法根拠もない新法案を成立させないよう申し入れ、衆議院議員会館内で決起集会を開いた。
この法案は、「部落差別」の明確な定義もないまま、国と地方自治体の責務に加え、第6条に「実態調査」を行うことを明記しているが、今日的解決の視点からみても言語道断である。「実態調査」は、部落問題が社会問題としては基本的に解決している中で、政府、自治体があらたに「部落」「部落民」なるものを選別するもので、重大な人権侵害行為に他ならない。
更に今回の法案は部落問題の固定化、永久化につながる恒久法の形態をとっている点も大問題である。
現在、「人権教育・啓発推進法」と関連して教科書記述と賎称語の取り扱いをめぐって、学校現場や解放教育なるものが展開されている地域で様々な矛盾や問題が発生している。こうした点の見直しこそ求められているにもかかわらず、それを放置した上に今回の新法上程と成立策動は、多年にわたる部落問題解決の営みを無視して歴史の歯車を逆転させようとするに等しい良識を欠くもので、新法など論外であり、断固反対、全力をあげて阻止することを決議する。
2016年6月12日
全国地域人権運動総連合第7回定期大会
第7回全国大会・広島 大会決議(1)
特別決議・参議院選挙勝利で憲法を活かす
戦後70年の昨年9月、8割以上の国民の反対を無視し、安倍自公政権が安保関連法案(戦争法案)を強行採決した。今年、念頭の所信表明で安倍首相は、憲法「改正」を表明した。加えて、高市総務大臣が公然と「放送局の電波停止」に言及するなど、戦争へと突きすすむ安倍自公内閣の暴走が露になっている。
自民党の憲法改正草案は、現憲法に比べると明らかに多くの問題を含んでいる。まず、憲法前文で高らかに謳われた国民主権と恒久平和主義が消え、議会制民主主義の根幹である立憲主義を意図的に欠落させている。改正草案の各条文では「天皇の元首化」、自衛隊に代わって「国防軍」の設置、9条2項の改悪で戦力の行使を可能にし、個人の尊厳など国民の基本的人権を「公益及び公の秩序を妨げない」範囲と条件をつけて規制、国民の権利を否定し義務を強要するなど、国家主権が前面に現れており、戦前の大日本帝国憲法に復古する内容になっている。
昨年の6月以来、改憲派の憲法学者までが「安保法案は憲法違反」と異議を唱え、ほとんどの憲法学者を始め既存の組織に加え、大学生たちのシールズをはじめ、子育て中の若いママの会、文化・芸能関係者、高校生の会まで誕生し、強行採決のときは、雨に中を国会周辺に23万人が押し寄せ、「戦争法反対」「だれの子どもも殺させない」と訴え、抗議した。
以来、今日まで「戦争法廃止」、「野党は共闘」のスローガンのもと、毎週、全国津々浦々で、それぞれの団体や個人がさまざまな工夫を凝らした運動が展開されてきた。戦争法廃止の2000万署名の総がかり運動が大きな力になり、この市民・世論のうねりに押されて、全国32の参議院選挙1人区で「野党と市民」の統一候補が実現した。
私たちは、現憲法のすばらしさを確認し、憲法を守り活かす運動をさらに推進し、地域人権憲章を地域社会に活かすために、来る6月22日公示、7月10日投開票の参議院選挙では、人権連あげて、「戦争法廃止」「集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回」「立憲主義・民主主義の発展」「国民生活改善」などを公約する政党、候補者の躍進と当選のために全力を挙げることを全国人権連第7回定期大会の総意として確認し、決議する。
2016年6月12日
全国地域人権運動総連合第7回定期大会
全国人権連第7回大会(広島、6.11-12) 「『部落差別』固定化法案」反対闘争の強化等確認
部落差別固定化に反対
広島 全国人権連大会始まる
仁比氏あいさつ
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-06-12/2016061204_01_1.html
全国地域人権運動総連合(全国人権連、旧全国部落解放運動連合会)は11日、2日間の日程で第7回大会を広島市内で開きました。
開会あいさつした丹波正史議長は、前国会終盤に上程され、衆院で継続審議となった「部落差別」を永久化・固定化する法案(「部落差別の解消の推進に関する法律案」)について、「同和事業の終結を国がじゃまをするものだ」とのべ、政治的にも行政的にも逆行していると指摘。「何が部落差別かの規定もなく、時限立法でもない。旧部落はないのに、わざわざ部落・部落民を“洗い出し”、固定化するものでしかない」と批判しました。
新井直樹事務局長は、「法案には立法事実がなく、まともに議論をしないのに、数を頼んで押し通す危険がある」とのべ、臨時国会の開催前に「憲法改悪反対、『部落差別』固定化法断固反対の国民的な組織」の結成を呼びかける方針を提案しました。同法案が自民党の主導であり、野党分断の選挙目当ての側面があると指摘し、参院選挙で野党統一候補の勝利を呼びかけました。
来賓として、日本共産党の仁比聡平参院議員があいさつし、野党と国民の共同がすすむ情勢を報告、「部落差別」永久化法廃案に力を尽くす決意を表明しました。
継続審議に断固反対!「部落差別解消推進法案」―会期末法務委員会にて
清水ただし 日本共産党衆議院議員
[活動報告]2016/06/01 更新
http://www.shimizu-tadashi.jp/activity-report/post-1947.html
6月1日、会期末の法務委員会が開かれました。付託されていた個々の法律案について、継続とするかどうかの賛否を問いました。
部落問題を「固定化」する部落差別解消推進法案については、日本共産党以外の賛成により継続審査となりました。
前日の理事懇談会及び当日の理事会において、私は継続に断固反対し、廃案を求めました。立法事実や定義がなく、同和問題解決に逆流を持ち込む法案であることは、わが党の委員会質疑において明らかになりました。次期国会においても成立阻止へ国民のみなさんとともにがんばりたい。
下の写真は、採決の場面です。

