人権連備忘録

09年12月16日 水曜日

事業仕訳と官僚発言の禁止を考える

民主党の「事業仕訳」を見ていた国民の多くが「こんなに無駄があるのか」「こんな事業があったのか」という感想をもったとマスコミが報道していたのを思い出しながら、事前にデータ把握をしていたとはいえ、1事業を1時間程度のスピードで「廃止」「縮小・継続」などを言い渡す光景はさながらドラマをみているかのような印象。科学や医療分野の基礎的研究費まで削減することへの心配も多い。事業仕訳で廃止と判断されたから即廃止ということではないようだが、本来、事業仕訳の対象となるべき法人税大減税や米軍への思いやり予算やグアム移転費の3兆円問題などは最初から対象ともされていない。事業仕訳チームの限界はここにみえた気がする。

政治主導と銘打った「官僚の国会答弁の禁止」。確かに政治家が本来自分の言葉で国会で答弁すべき内容が多いことは事実だろう。それを官僚にまかせっきりだったことが、問題だったことは理解できる。しかし、内閣法制局長官を政府保佐人からはずして国会答弁を行わせないとする民主党の小沢幹事長の思惑は、「政治主導だから」という内容ではないように思える。憲法改正を党是としてきた自民党政権時代でさえ、集団的自衛権の行使についてはかなり慎重に答弁してきた経緯がある。法的問題も含むことから内閣法制局長官の意見が国会で重要視されてきたからだ。

しかし、今回の政治主導でこの部分もはずし、「集団的自衛権問題も民主党政権主導で」というのは、かなり乱暴な動きと見える。また、国内的には「人権救済法案」のこともあり、なにかと注意してみていかなくてはならない。

09年11月18日 水曜日

全国人権連09年度政府交渉

111213

テーマ  

民意に添って弱肉強食の自公路線を転換させ

貧困と格差、不平等の解消へ

人間らしい暮らしのできる地域社会の実現を求める

政府要求書091112-13.pdf

09年11月6日 金曜日

民主党の人権救済法案は大いに問題

 日弁連が9月24日に公開学習会「国内人権救済機関設立に向けて」を開催しました。

全国人権連機関紙「地域と人権」10月15日号に学習会の模様と解説を掲載しています。

以下に紹介します。

091015.pdf

09年10月6日 火曜日

警察・検察所有の証拠ビデオや録音テープ開示へはずみ

昨日、「足利事件」関連で担当弁護士とともに地検を訪問した菅家さんに対して、地検最高責任者がはじめて公式に謝罪したとテレビで紹介されていた。その際、被告・弁護側が申し立てていた警察・検察での証拠調べの際、録音されていた「録音テープ」16本のコピーが「第3者に公開しない」条件付で手渡された。弁護側は、これからはじまる「やり直し裁判」へ証拠として提出し裁判の場で公開することを裁判所に対して要請するという。

さて、警察・検察は様々な事件に関してビデオや録音テープ(今はボイスレコーダーか)を保持している。普通、それは証拠としてはなじまないといわれているが、大きな影響を及ぼすことにかわりはない。

社会保険事務所職員である堀越さんが休日を利用して日本共産党のチラシを配布したことが国家公務員法違反だとして公安警察に逮捕され、東京で係争中の「国公法弾圧堀越事件」で東京高裁・中山隆夫裁判長は、9月16日の公判後の進行協議(被告・原告代理人である弁護士と検察、裁判所が行う次回公判の進め方)において、一定の条件を付した上で「報告書等証拠について弁護側に開示するよう」検察官に勧告したという。検察官もこれに応じて公安警察によって盗撮されたビデオテープが22本分開示されることになりました。(盗撮ビデオは総数33本)

足利事件や堀越事件を支援している日本国民救援会や弁護士も一様に「重要な前進である」と裁判所や検察のビデオや録音テープなどの開示を評価しています。密室での自白強要や恫喝のあり方がいま世の中に問われようとしています。勿論、今回の開示請求の背景に裁判員裁判がはじまったことの影響や、全国各地から3400枚を超える開示を求める要請葉書が裁判所や検察に届けられたことも、裁判所や検察を動かす大きな力になったことでしょう。

ちなみに堀越事件で一審の東京地裁は、ごく当たり前の判断として公安警察の「盗撮」は一部違法という見解を示しています。ともあれ、証拠としてのビデオや録音テープの開示は歓迎されるものです。

09年10月1日 木曜日

民主党政権、まず社会保障をどう立て直すのか

政府交渉も近づくなか、気になっているのは新たな民主党政権が、国民の生命を守る社会保障や医療分野、さらに日本の教育をどう立て直すのかです。もちろん雇用対策をきちんとしてもらうのはあたりまえのことですが。

まずは、特に厚生労働大臣が口にした「障害者自立支援法」問題と「後期高齢者医療制度」問題を本当に国民の民意に沿って廃止に向けた断行に向けて踏ん張れるか。さらに文部科学大臣が来年から高校生の授業料を無償にすると言った点も国民は期待しながら見守っている。高速道路の無料化発言やダム問題等もあるが、国民生活と直結している雇用、社会保障、医療、教育はぜひとも大鉈をふるってもらいたものだ。

09年9月10日 木曜日

権利憲章4次案をアップ

鳥取市で今年5月に開催した第5回地域人権問題研究集会で公表した権利憲章の4次案をこのブログ上部の「ページ部分」にアップしました。

09年8月28日 金曜日

失業率5.7%、これからどうなる

今朝のニュースで政府雇用統計の数値として7月の完全失業率が5.7%になり過去最低を更新したことが明らかになった。完全失業率は正規・非正規を問わずアルバイトも縁故での仕事も何もしていないという失業者の数値ということになっている。ここまでは誰でも知っていることだと思うが、では実際に完全失業率をはじき出す仕組みはどうなっているのか。 Continue Reading »

09年8月25日 火曜日

『差別と日本人』 解説に問題多く、角川書店に資料提供

 全国人権連は6月24日、角川書店編集部に、新書版「角川ONE21『差別と日本人』(著者野中広務、辛淑玉)6月10日発行」で、辛淑玉氏の部落問題をめぐる解説に事実を歪曲・誤認が多いことから、読者に部落問題の理解に偏見を招きかねないとして、資料を提供し善処をもとめました。
これに対し、7月3日付けで、角川書店編集局、角川ONEテーマ21編集部より「弊社の書籍、角川ONEテーマ21『差別と日本人』につきまして、このたびは貴重なご意見、ならびに資料のご提供を賜り、誠にありがとうございました。頂戴した資料は参考とさせていただき、改訂の際の検討材料とさせていただきたいと存じます。誠にありがとうございました」との返答が寄せられました。
ここに機関紙「地域と人権」09年7月15日号の該当部分を掲載します。
なお、機関誌「地域と人権」9月5日号には、提供した資料全文を掲載しています。

 09715-1-3.pdf

09年8月17日 月曜日

訃報、長谷川正安さんやすらかに

名大名誉教授で憲法会議代表委員として活躍されていた長谷川正安(はせがわ・まさやす)さんが8月13日にお亡くなりなったことを新聞とメールで知りました。享年86歳。15日に葬儀が名古屋市内でしめやかに営まれました。先生には全解連時代から研究集会などで大変お世話になりました。やすらかにお休み下さい。合掌

09年8月12日 水曜日

「新しい歴史教科書をつくる会」(以下、「つくる会」という)編集の自由社版歴史教科書を採択しないでください。

 杉並区の教科書採択にかかわる教育委員会が8月12日(水)午後2時から開催されます。そのため全国人権連本部は以下の申し入れをおこないました。
 さらに、横浜市教育委員会は、8月4日、「つくる会」編集の自由社版歴史教科書を市内18採択地区中8地区(港南・旭・金沢・港北・緑・青葉・都築・瀬谷、145校中71校)で採択しました。全国人権連はこの暴挙に怒りを込めて抗議し、採択の撤回・やり直しを要求しました。

                                                            2009年8月12日
杉並区長        山田宏  殿
杉並区教育委員会教育長 井出隆安 殿
                                               全国地域人権運動総連合
                                               議 長   丹波 正史

 「新しい歴史教科書をつくる会」(以下、「つくる会」という)編集の自由社版歴史教科書を採択しないでください。
 実際に子どもの教育にたずさわっている教師、保護者、さらには子ども自身の意見を尊重してください。

 今期の教科書採択は、改訂学習指導要領への移行期にあり、2年間の限定された使用期間ということもあり、自由社版1社の教科書について検定が行われ、いったんは516カ所の欠陥を指摘され、不合格とされた経緯を持っています。
 再提出時も130カ所を超える検定意見が付された教科書であり、基本的な内容への批判とともに、「こんなずさんな教科書を子どもたちに手渡していいのか」といった厳しい声が寄せられてきました。
 教科書は、子どもの発達段階にそって、真理や真実が記述され、どの子にもわかるように十分吟味されて教材化されたものでなければなりません。歴史の真実をゆがめ、侵略戦争を賛美する教科書は、憲法の平和主義・国際協調の原則に背き、教科書として適格性を欠いていると言わなければなりません。
 「つくる会」が主導する歴史教科書は、アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」、「自存自衛」、「アジア解放の戦争」と記述し、侵略戦争と植民地支配を正当化しています。一方、原爆投下による被害の実相やアジア諸国民に与えた多大な加害については、ほとんど記述されていません。
 戦争を賛美し、「戦争は正しかった」と教えようとしている点がこの教科書の最大の特徴です。侵略戦争を肯定、美化するこの教科書の戦争・歴史観は、憲法の精神にもとづき、子どもの権利条約を生かした学校と教育への願いを踏みにじるものです。
 私たちは、基本的人権の尊重と平等、平和主義、何よりも民主主義が社会に根付くために部落解放運動を、そして地域社会に人権確立運動を展開しているものとして、貴区の事態は看過できません。 拙速な採択はやめてください。
                                                                            以上

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