今年24回目となる「日本高齢者大会」。開催チラシ(pdfは下にあります)には、「まちから村からの連帯でひとりぼっちの高齢者をなくそう」とあります。まさにその通りだと思います。日本中どこにいっても、都市部でも農村部でも高齢者の単身世帯や高齢者夫婦だけの世帯などが急増しています。特に農村部でもそれが顕著になりつつあります。限界集落が多いといわれる中国地方の山岳地帯や東北部周辺に暮らす高齢者の生活は昔と一変しています。

いま山間部で次第に里山がなくなってきています。同じように里山周辺の風景も地肌がむき出しになっているのを目にします。背景には国の農業政策の失政と農村労働力が都市部へシフトしていったことや、宅地や工場団地の乱開発があります。前者の課題は複雑な課題もあるのでさておき、後者の場合、特に行政の外郭団体的な「公社」「三セク」が関与しているケースが多く、現在、各地の自治体財政圧迫の大きな要因となっています。共通するのは、やみくもに乱開発に巨額を投資しながらも、最終的に買い手がつかずほったらかしになっている点です。当然、開発によって掘り返された土砂や切り倒された雑木などは谷間に埋め立てられるわけですから大雨などで土砂が流失したり鉄砲水の被害があったりする中で自然破壊は二重三重にひろがります。里山の崩壊、農村部の崩壊は最終的に耕作放棄地を拡大し、「人も住めず、動植物も育たない」不毛の地となります。

しかし、希望がないわけではありません。いま山口県や島根県では、若い人たちがこういった状況をなんとかしようと東京など大都市と連携した様々な活動を展開しています。一方、元気な高齢者も黙ってはいません。高齢者大会の開催内容をみてもそれがよくわかります。

できれば、こういった元気な高齢者運動と若者たちがともに取り組める継続的で全国的な運動を構築することが、崩壊の瀬戸際にある自治の再生につながるのではと思うこのごろです。また、里山復活は最近多い野生動物たちと人間の予期せぬ接近遭遇回避のカギであることももっと真剣に考えるべきではないでしょうか。

PDFファイルはこちらです。高齢者大会in水戸