全国人権連2011年度政府各省交渉要求書(11年12月26日付け)
テーマ 貧困と格差、不平等の解消で
人間らしい暮らしのできる地域社会の実現を求める
テーマ 貧困と格差、不平等の解消で
人間らしい暮らしのできる地域社会の実現を求める
2011年12月16日
全国人権連事務局長 新井直樹
新たな人権救済機関の設置動向に係わって
立法根拠そのものから国民的な検討を求める(談話)
1,2003年8月末「郵政解散」にともない廃案となった人権擁護法案は、審議会答申を踏襲し次のような問題を持っていた。①政府からの独立性など国連が示す国内人権機構のあり方(パリ原則)とは異なる、②公権力や大企業による人権侵害を除外しており、もっとも必要性の高い救済ができない、③報道によるプライバシー侵害を特別救済手続きの対象としており、表現・報道の自由と国民の知る権利を奪う、④「人権」や「差別」についての明確な規定なしに、「差別的言動」を「特別救済手続」として規制の対象としたことが、国民の言論表現活動への抑圧であり憲法に抵触する、点である。
こうした問題を含む法案の廃案運動を進め、人権審議会答申の問題を克服し国民の真の人権擁護を図るために民主団体と5団体連絡会を結成し取り組んだ。自公政権下で幾たびか法案提案に係わる策動があったが阻止してきた。
2,自公に替わり政権与党となった民主党の千葉法務大臣は、09年9月17日未明の就任記者会見で、人権救済機関を内閣府の外局に設置することを内閣提出法案で早急に実現したい旨発言、政務3役の名前による2010年6月の「中間報告」では、所管を内閣府とする他具体的な記述はなかった。 Continue Reading »
全隣協などは各都府県や市町村、隣保館に「実態調査」協力の依頼を通知しています。
この問題について全国人権連は6月の和歌山全研基調報告で以下のように「反対」の立場を明らかにしています。
ついては、法的根拠もなく、関係住民を洗い出し、そのプライバシーに係わる事柄を把握するなど、一部の賛意の下で進めることに強く反対します。
(4)「厚労省同和問題実態調査」なるものは、問題解決に逆行する
①「解放新聞」(2011年4月18日付け)は、「隣保館を拠点とした同和問題解決に向けた実態調査」が厚労省の「地域福祉推進事業」として7月頃に行われると報道しました。
狙いは、人権侵害救済法制定のために被差別体験などの実態を明らかにし、法制定実現の立法事実を収集すること、住民の課題を明らかにし要求の組織化や同盟員拡大に役立てるというものです。市町村保有の行政データから同和地区のデータを抜き出し地区概況調査を行うのは公務員の仕事であり、同和地区住民へのアンケート配布回収は隣保館職員の業務であると、行政の全面的支援をも打ち出しています。こうして同和対策の復活をはかろうとしています。
②厚労省の地域福祉推進事業は、「地域社会における今日的課題の解決を目指す先駆的・試行的取組等に対する支援を通じて、社会福祉事業の発展、改善等に寄与することを目的」にしています。一般型は2500万円を上限に全額国庫補助です。2010年度採択法人に「社会福祉法人大阪府総合福祉協会」(旧「大阪府同和地区総合福祉センター」)があり、「隣保館における地域社会資源との連携調査とあり方検討事業と先進事例集作成事業、隣保館支援地域生活実態調査に向けてワーキング委員会の開催」を内容としています。
「解同」高知県連は全市町村に調査協力に係わる要請書を4月中に送付し、「解同」中央生活労働運動部がいう「部落差別を解消することを目的とする行政」を同和行政の概念として認めることなど、「解同」の考え方に同調するかどうかの返事を求めていました。
問題は、2002年3月末に総務大臣談話で「国、地方公共団体の長年の取組により、劣悪な生活環境が差別を再生産するような状況は今や大きく改善され、また、差別意識解消に向けた教育や啓発も様々な創意工夫の下に推進されてまいりました。このように同和地区を取り巻く状況が大きく変化したこと等を踏まえ、国の特別対策はすべて終了することとなったものであり、今後は、これまで特別対策の対象とされた地域においても他の地域と同様に必要とされる施策を適宜適切に実施していく」との方針に反することです。
高知県も昨年12月に「解同」から「実態調査の実施」を求められたおりの回答で「法の失効後は地域や人を特定せずに、行政課題ごとに施策を実施してゆく。したがって、施策ニーズを把握するために調査が必要な場合は、行政課題ごとに行う」と、拒否しています。
自主的団体が任意でアンケートを行うことはあり得ますが、行政補助事業で地域や人を特定して公務で行うことは、同和問題の解決に逆行することであり、総務大臣談話にも反するものであり、行政が関与することに反対するものです。
法務省 Q&A(新たな人権救済機関の設置について)
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03_00041.html
平成23年12月6日
平成23年8月2日に法務省政務三役が公表した「新たな人権救済機関の設置について(基本方針)」に関して,ご意見やお問い合わせが数多く寄せられました。そこで,幾つかの点について,一問一答の形でご説明をさせていただくこととしました。
あま市の「人権尊重のまちづくり条例」への意見
愛知地域人権連合甚目寺支部
あま市は、「人権尊重のまちづくり条例」を12月議会に提出し、制定しようとしています。この条例案には「人権」の名のもとに市が市民の発言や行動を押さえかねないなどの大きな問題を含んでいます。
市の考える「人権」は差別問題へのすりかえ
人権とは、国という大きな権力をもっているものが、国民に対して権利の侵害をしてきたという過去の歴史の教訓から、国民がもっている自由権、平等権、生存権や社会権などの諸権利の具体的内容を拡充させ発展させてきたものです。しかし、あま市で今提案されようとしている「条例」の人権にたいする考え方は「差別や偏見」を中心にすえ、人権問題を差別問題に限定するきわめて特異な人権のとらえかたとなっています。
人権問題を市民相互の権利の衝突のように描くことは、人権問題の正しい解決の道をそらしかねません。このことは基本的人権の考えから大きく横道へそれるものです。
市民と事業者に「責務」として行政の施策を押しっけるもの
条例案では市民と事業者に市の「人権施策に協力するよう努めるものとする」と定め、「責務」規定を設けることによって、市民と事業者には、市が実施する人権施策への全面的協力が促され、市が考える「人権」という一つの価値観を押しつけようとしています。憲法は、基本的人権を保障するとしてあり、国や行政が厳格に守らなければならないものとしています。
市民への罰則や住民同士を監視させるしくみに?
市民の人権意識の向上を図るには、市民の自主的な学習活動、ボランティア活動などが必要です。住民の自主的な活動などを支援する条件整備を積極的に充実させる施策の展開が重要です。条例案は、市民一人ひとりの心の問題にすりかえ、市の施策に協力させ、市長はその協力度をチェックし公表するものとなっています。条例案では、条例施行に関し市民の目のふれないところで、他県にあるように罰則規定を設けたり、住民同士を監視させるしくみをつくろうとしているのでしょうか。
条例案は、人権施策などを検討するために「審議会」の設置を規定しています。しかし、委員の選出の基準が定められておらず、多様な意見、異なった意見が反映できる民主主義の原則にそくしていません。とかく「審議会」などは当局の意向にそった人びとが委員に選出されることが多く、「人権」という問題を論議するためには委員選出の原則を明確にしていくべきです。
同和問題の解決に逆行する同和行政継続に他ならない
この「人権尊重のまちづくり条例案」は、西日本の自治体で制定されている「人権尊重のまちづくり条例」などと基本的な考え方及び内容がほぼ同一のものとなっています。条例のねらいが「同和行政をあらためてしっかりと位置づけて推進していく」=自治体での同和行政の継続ということにあります。
我が国の総理大臣はなぜこうもアメリカに頭があがらないのか。ずいぶん昔し「ノーと言えない日本人」という本が話題になったことがあるが、いまなお日本の総理は、その体質をひきずっているようだ。中曽根以来、ホットラインを通じて、「首相外交」がすすみ、なんでもかんでもアメリカが言いだす前にお膳立てをするどこかの省の高級官僚や、財界の声には耳を「ダンボ」にしていると言われてもしかたのない日本外交の弱さというか危うい「もろさ」。
そんな中で、野田総理もやっぱり「TPP」参加をやる意向を示している。けっきょく既成事実として、「とにかくやってしまえ」、そうすれば、後はなんとかなるとでも思っているのではないか。
地方の県は、こうしたもとで、早くも農業のブランド力を高める、そのために大規模集積農法を様々なプランや計画として具体的に浮上させてきているようだ。原発問題もしかりである。国破れて山河あり、、、こんなことにはならないようにしなくてはならない。